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さらば、クロ!(永遠の別離)

CIMG0812.jpg
在りし日のクロ、当時13歳。

オレが働く職場、通称「山」のボス犬・クロが、3月29日(土)に旅立った。
享年15歳。

2月24日、クロの腹が妙に大きいのに気付く。
腹水が溜まっているのでは・・・・・悪い予感がした。
腹は日を追うごとに膨らみ、クロも辛そうである。

山で暮らすクロは、飼い犬の要素も持った野犬と表現したら良いだろうか。
全盛期は20頭以上の群れを率いたボス犬である。
この頃のクロは獰猛な野犬であり、当時のクロを知る保健所の方に聞くと、
体は決して大きくないが、とにかく威厳があって本当に怖かったとのこと。
クロに飼い犬の要素が加わったのは、通報によってクロを含む群れの全て
が一斉捕獲された際、先代の社長が懇願して解放された頃からである。
ちなみに、クロと共に解放されたのが、子犬だった「ふう・コロ・ゴエモン」の
山のメンバーである。

つまり、野犬として育ったクロは、当然ながら病院というものを知らない。
フィラリアには当然罹っているだろうし、他の病気などもあるだろう。
厳しい環境下で、15年も生きたのは奇跡に近い。このまま自然に任せて
逝かせるべきではないか。一方で、最善とまではいかないにしても、一度
くらいは治療しても良いのではないか。オレはどうすべきか、迷っていた。

オレが場内点検の為に歩き出すと、いつものように自分の仕事とばかりに
大きな腹でヨロヨロ付いて来る、クロの姿を見て決心した。

病院に相談してみよう。


3月3日、山から最も近い、某動物クリニックに相談に行った。
現在のクロの写真を見てもらい、病状などを説明する。
先生が往診しましょうか?と言ってくれた。有り難かったが、お断りした。
オレの知るクロは本当に大人しく、穏やかな犬である。しかし、見知らぬ人
や医療器具を見て、驚いて咬んでしまうことも有り得るからだ。
先生によると、フィラリア感染による腹水は間違いない、他にも膀胱炎や
前立腺ガンなども有り得るとのこと。いずれにせよ、年齢からして今年の
夏は乗り切れないと思いますよと言われた。
オレが先生にお願いしたのは、穏やかに死なせて下さい、それだけだった。

5日毎にクロの様子を報告し、薬を処方してもらった。
成果は着実に出て、クロの腹は小さくなった。食欲も旺盛、オレの点検にも
ゆっくりした足取りではあるが、元気な様子で一緒に回った。
調子が良いのか、クロがお気入りの場所である、事務所を見下ろす高台に
上って、景色をいつまでも眺めていた。
後ろでその様子を見つめていたが、涙でクロの姿が霞んでしまった。

順調と思われたが、長くは続かなかった。
寒の戻りの22日から、徐々に元気が無くなり、また腹が膨らんできた。
24日になるとゴハンもほとんど食べないで、1日中ぼんやりしている。
クロの好きなパンに薬をはさんでいたので、食べないとどうしようもない。

オレが用意したクロ用のフトンで、力無く横たわる彼にお願いをした。
①オレが勤務する月~土の、朝7時から夕方6時までに逝ってくれ。
②敷地が広大なので、探せる事務所の周辺で逝ってくれ。
③山林で独りで逝かないでくれ。
④お前をオレの手で埋葬させてくれ。
周囲を山林に囲まれ、野生動物や野犬なども居るので、夜間に離れた場所
で逝ってしまうと、クロの体が傷つけられてしまうのが耐えられなかったので
クロに身勝手で無茶な頼み事をした。そして、最後に一言付け加えた。
もう薬は止めたからな。辛かったら逝っていいからね。

そして、その日が来た。
小雨の降る昼過ぎ、僅か数m程度を移動するのにも、足がもつれていた。
草むらで腰を下したが、体が前後に揺れている。
その姿を見つめながら、クロとの別れがすぐだと実感した。
午後1時、施設の点検の為に坂道を上っていると、クロがフラフラ歩いて
いるのが見えた。そんなに遠くには行けないはず、そう思いながら点検に
行き、戻るとクロの姿が無い。
何度探しただろうか、きっとこの辺りにいるはずなんだが、見つからない。
本降りに変わった雨が少し止んだので、もう一度同じ場所を探してみた。

木々の奥の物陰、クロの背中が見えた。
呼吸による体の動きが、既に無いのが分かった。
すぐさま駆け寄る。クロはもう冷たくなっていた。
クロ・・・・・そう呟くと、涙がどっと溢れた。
そっと抱きかかえて、彼のフトンに寝かせた。
クロの目を閉じ、頭を撫で足や腹をさすった。

オレの頼み、聞いてくれたんだね。
苦しくなかったか?薬は嫌じゃなかったか?ごめんな、クロ。
お前とは2年5ヶ月の短い付き合いだったな。
でも、いつも一緒だったな。
ありがとう、クロ。そして、さようなら。

オレは自らの手で、クロを埋葬した。

| 山の番犬 | 15:25 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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